住民説明会(市長の説明内容)



1.「賛成多数=大阪市廃止」を説明したか?

 市長は39回の説明会の中で「賛成多数=大阪市廃止」に一度も触れませんでし。説明に用いた「説明パンフレット」では1ヶ所だけ6ページの一番下に「大阪市が廃止され」と書かれていましたが、説明でこのページを市民に開いてもらうことは一度もありませんでした。


2.(39回の説明会の間に)説明量に変化があったか?

 説明内容の文字数を調べてみました。次のグラフはその結果を表しています。

 このグラフから、説明会の最初数回は文字数がかなり増加し、3日目の7回目あたりから安定して多い、つまり説明が長くなったことが分かります。司会者は、1回目の説明会では最初に「事務局からの説明30分、市長からの説明40分、質疑応答に40分」と言っていましたが、2回目以降は市長の説明時間は言及せず「その後市長が説明し」とだけ言っていました。7回目以降の説明時間は70分程度にまで長くなり、その分質疑応答の時間が短くなってしまいました。


3.この住民投票とは何の関係もない「大阪都構想」という言葉を説明に使ったか?

 「大阪都構想」は、大阪維新の会の政策目標としての言葉であり、この投票での対象ではありません(「特別区設置協定書」にも1度も出て来ません)。ですから、「大阪都構想」という言葉を住民説明会で使ってはならないはずなのですが、実際は市長は、39回の説明会で次のように市長としての説明で1626回、質疑応答で276回、合計1902回「大阪都構想」という言葉を使いました(「都構想」を含みます)。

 市長が住民投票に関係のない「大阪都構想」という言葉を使ったことに対し、説明会での質問票に疑問を投げかけた住民がおられました。その質問内容とそれに対する市の回答は次のとおりです(市のHPより)。

 

住民説明会における質問票への回答について(住民説明会の政治的中立性について)

 上の市の回答には2つ問題があります。

 1つ目の問題は、「いわゆる大阪都構想、これからは大阪都構想と言わせてもらいますが」と断りを入れた、と書いてありますが、市長がこの断りを入れ始めたのは第24回説明会からで、しかも2回入れ忘れたようで、実際に断りを入れたのは第24回~32回と第34回~38回のみです。他の回は、何の断りもなく「大阪都構想」という言葉を使いました。

 2つ目の問題は、そもそも断りを入れれば何を言ってもいいというものではないというところです。

 つまり、この回答は、市長が「大阪都構想」という言葉を使ってもいい理由にはなっていません。


4.何を「二重行政」と言ったか?

 先ず、「二重行政」という言葉の出現回数ですが、39回の説明会で合計479回使いました(質疑応答は除く)。次のグラフは、「二重行政」という言葉の出現率の変化を表しています。

 このグラフから、「二重行政」という言葉の出現率が31回目以降かなり減ったことが分かります。「8.その他説明内容に変化があったところがあるか?」では、世間の評判が悪い「問題意識」という言葉の出現率は減り、逆に評判が良さそうな「空港」は増えたと説明しました。これから判断すると、「二重行政」は評判が悪いから減ったととれますが、この「二重行政」という言葉に関しては、単に出現率が高い、低いだけでは話は終わりません。それは、何を「二重行政」と言ったのかが問題であり、しかもそれが回を経るごとに変化したからです。

 そこで、ここからは “何を「二重行政」と言ったのか” を見ていきます。

 

4-1.市長が「二重行政」という言葉を使ったときに提示していたスライド

 説明会の1回目~30回目までは次の「スライド1」が中心で、実際に使ったのは1~31、34、36、38回目でした。なお、A項目とは経営形態の見直し検討項目のことで、B項目とは類似・重複している行政サービスのことです。

 市長はこれらが「二重行政」だと毎回のように説明しましたが、これには異論を唱える方が多くいます。市長が最も力説したのは一番下の「りんくうゲートタワービル」と「ワールドトレードセンタービル」ですが、前者は後者の後に大阪府泉佐野市に建設されたもので、大阪市が建てた後に、離れた泉佐野市に建てたものが「二重行政」によるものだとい主張は説得力に欠けます。また、大阪市立大学と大阪府立大学が果たして「二重行政」なのでしょうか。

 

 次に、「スライド2」と「スライド3」も、回数はそれ程多くないですが「二重行政」の説明に市長は使いました。実際に使ったのは「スライド2」は2、4、29、36、37、39回目、「スライド3」は2、36、37回目でした。

 この2枚のスライドに関しては、これが果たして「二重行政」なのか、大いに疑問です。これは単なる大阪市・大阪府の過去の失敗事業例で「二重行政」とは関係がないという声がたくさんありました。実際、市長自身も第2回説明会で次のように言いました。

 

それから、2つ目の問題意識が、2つ目といいますか、同じ二重行政といいますか、いろんな事業がうまくいかなかったケースなんですけれども。2番。これは、大阪市がいろいろやったことで事業がうまくいかなかったものを、ちょっと列挙をしていますけれども。

 

 市長は「二重行政」と失敗事業例の両方言っていますがどちらなのですか?

 

 説明会の31回目~39回目は、次の「スライド4」が中心で、実際に使ったのは4、9、11、13、22、31~33、35、37~39回目でした(31回目のみ「スライド4の②」)。

 例えば、第13回説明会では「スライド4」を提示して次のような説明を市長はしました。

 

だいだい色と言いますかピンク、こちらのほうが大阪府分です。そしてこの灰色の部分が大阪市分。府の部分と市の部分がものすごく大きい負担がダブルで皆さんにかぶさってきている。こういう状態をもって僕はこういうものを二重行政と見ているのです。

 

 「スライド4」の市民一人当たりの借金額のグラフを用いて、大阪市も大阪府も多くて「二重行政だ」と市長は説明しましたが、大阪市は借金を順調に減らしてきており、今は一人当たりの額が多くても将来的には問題がないこと、逆に大阪府は借金が減らず記載許可団体に陥っていることを説明しませんでした。また、「特別区設置協定書」には「二重行政」という語は出て来ません

 

4-2.市長が「二重行政」という言葉を使ったときに用いたパンフレットのページ

 説明会の2回目~21回目までは次の上図「パンフレットp.3」が中心でした。そして、説明会の22回目~30回目は次の下図「パンフレットp.15」と「p.16」が中心で、実際に使ったのは2、19、21、24、28~31、34回目でした。32回目以降は、パンフレットをあまり用いませんでした。

 このパンフレットを用いた「二重行政」の説明では、市長は大阪市と大阪府の両方が現在同じ仕事をしていると説明したかったのですが、上の1つ目の図は、「産業、卸売市場、港湾、大学、病院」は一致しているものの、「地下鉄、バス、モノレール」は一致していないため、使いにくく感じたと思われます。そのため、市長は途中から上の2つ目の図に変更しました。2つ目の図では、文言上は「大阪市の広域的な事務」と「大阪府の広域的な事務のうち大阪市でも担っている事務」が一致しており、これらが「二重行政」であると説明していました。しかし、それらが本当に「二重行政」といえるのかは甚だ疑問です。

 

4-3.その他に何を市長は「二重行政」と説明したか

(1) 地下鉄も「二重行政」だ!?

 説明会の9、13~15、17、19、20、24回目では、大阪市営地下鉄も「二重行政」だと市長は説明しました。例えば、第14回説明会では次のような説明を市長はしました。

 

さっきの二重行政のところで説明しませんでしたけれども、地下鉄なんていうのも大阪全体に関わる仕事です。今、大阪市営地下鉄の利用者の7割は大阪市民以外です。大阪市民の利用割合は3割だけ。すなわちもう、大阪府民全体がこの大阪地下鉄というものを使っていて、市営地下鉄というのは大阪全体に関わる仕事なんです。こういうものを大阪市役所は、本来の市役所の仕事と同時に、本来の市役所の仕事と併せて、大阪全体の仕事もやってしまっている。ここが二重になり大阪全体に関わる仕事を大阪市役所と大阪府庁がそれぞれやってしまっているわけですから、ばらばらにやってしまっている。ここが二重行政

 

 なお、市長は地下鉄も「二重行政」だと言われましたが、大阪府営地下鉄はありません。どこがどう二重なのでしょうか。この点は、実は市長自身も認識しておられたようで、第18回説明会では次のように自己否定されました。

 

それから大阪府とは二重にはなっていませんけれども地下鉄などという仕事も大阪全体の仕事ですね。

 

 結局、地下鉄は「二重行政」なのかそうでないのか、どちらなのでしょう?

 

(2) 大学は2つを1つにまとめて規模を大きくするといい!?

 説明会の13~31、34、35回目では、市長は、大阪市立大学と大阪府立大学を一つにまとめると神戸大学以上の規模になって、大阪の発展につながると説明しました。例えば、第19回説明会では次のような説明を市長はしました。学生定員を足すと神大以上になるという理由で市大と府大を一つにするとは、単純過ぎると言わざるを得ません。

 

二重行政の問題と聞くと、すぐ経費節減の話ばかりが言われがちですけれども、そうではありません。1つにまとめたほうがより大阪のためになるということも、二重行政をやめようという理由の1つです。府立大学、市立大学ばらばらで大学をやるよりも、1つにまとまったらどうなるか。神戸大学以上の規模になるんです。今、府立、市立とばらばらでやっていますけども、皆さん、国内も国外も大学の競争というのはすごく激しいんです。特に外国の、特にアジアの各国の大学もどんどん力をつけてきています。そういう中で、大阪の大学として府立、市立で分かれてやるよりも、1つにまとまって、大阪の強力な公立大学になったほうが大阪の発展につながるでしょうというのが、僕の問題意識です。

 

(3) 大阪市民は「二重負担」を負っている!?

 説明会の14、33、37~39回目では、市長は、大阪市民は大阪市の借金と大阪府の借金の両方を負っていて「二重負担」であると説明しました。例えば、第37回説明会では次のような説明を市長はしました。

 

そして、この負担は、4ページ。こちら右側の棒グラフを見ていただきたいんですが、市民の皆さんにダブルで背負わされたり、ダブルでかかってきますこれが二重行政、二重負担というやつです。
左側のほうが大阪市民1人当たりの負担額。大阪府庁と大阪市役所に負わされてる負担額です。右のほうの棒グラフは、東京都民の皆さん、1人当たり背負わされている負担額。役所から背負わされてる負担。見てください。実に、大阪市民の皆さんは、東京都民の3倍以上、役所から負担を背負わされてるんです
もちろん東京は人口も規模も違いますから、単純にこの絶対額で比較するというわけには行きませんが、問題はここです。この色の付いている所とねずみ色の所の負担。この役割分担をよく見てください。色の付いてるこの赤色の所、オレンジ色の所、ここが大阪府庁の担当。ねずみ色の部分が大阪市役所の負担部分。両方大きな負担をしてるわけです。
そして、右のほうのグラフ見てください。こちらは東京の状態です。色の付いてるほうの東京都庁の負担部分。ねずみ色の部分が、これからこの特別区設置、いわゆる大阪都構想で目指そうとしている特別区役所。東京23区というのは特別区役所ですから。後で説明しますが、大阪の区とは違います。市町村と同じなんですけどもね、一般の。まあ、特別区役所の負担部分。要は、東京はしっかり役所で役割分担できているわけです。大きな負担は東京都庁が、特別区役所はそんなに負担をしない。しっかりと役割分担ができている。

 

 日本人なら、どこに住んでも都道府県の借金と市町村の借金の両方があるのですが、それが「二重行政」で「二重負担」だと言われても、当たり前だとしか言いようがありません。

 

4-4.まとめ

 説明が長くなりましたが、ここまでの「4.何を「二重行政」と言ったか?」をまとめると次のようになります。

 「二重行政」という言葉の出現率は、後半はかなり減りました。しかし、「二重行政」という言葉はどうしても使いたかったはずで、単純に減ったのではないことが分かりました。つまり、何を「二重行政」というかが回を経るにつれどんどん変わり、試行錯誤しながら受けのいい話を探していました最後の方は、「大阪市民が市の借金と府の借金の両方を背負う二重負担を負っている、これが二重行政、二重負担」という意味不明な説明になっていました


5.「説明パンフレット」をどう説明したか?

 住民説明会で用いた「説明パンフレット」と、住民投票の対象である「特別区設置協定書」とは内容が異なり別物です。「住民説明会」→「住民監査請求」のページにも書きましたが、「説明パンフレット」について、市長は次のような4種類の虚偽説明をしました

  • 「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」=「特別区設置協定書」である
  • 「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」は議会が承認した
  • 「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」を国(総務大臣)がチェックした
  • 「特別区設置協定書について(説明パンフレット)」は唯一の公式資料である

 これらの嘘が、実際にどのように出て来るのか、すべての例を以下に示します。4種類の嘘は、色で区別しています。かなり量が多いですが、ご興味のある方はご覧下さい。


6.特別区の財政についてどのように説明したか?

 5つの特別区の財政について、事務局による説明と同様に、39回とも「説明パンフレット」の「長期財政推計[粗い試算]」のデータを用い、初期費用は600億円かかるが17年間でお金は積み上がると説明しました。例えば、第26回住民説明会では次のように説明しました。

 

今提供しているサービスはそのまま維持された上で、今後さらにお金が積み上がってくるというのがきちんと計算で書かれております。ちゃんとちゃんとお金は積みあがってくる。このお金を用いてさらに住民サービスを充実させる、新しい住民サービスにすることができるというのが今回の計算結果で出ております。そして、大阪都構想をやると600億円のお金が最初に経費としてかかるといわれています。これはコンピューターシステムを替えたり、庁舎を整理したりするお金ですが、その経費を差し引いたとしても、ちゃんと後からお金が積み上がってくるというのがこの計算結果で出ております。

 

 この長期財政推計は、第17回大阪府・大阪市特別区設置協議会での資料で示された額ですが、「協定書vs説明パンフレット」のページにも書いたとおり、地下鉄民営化等の特別区設置とは関係がない効果も含んでいる、特別区設置反対派の委員を排除し出席者全員を賛成派にしていた第17回の協議会で示された、「特別区設置協定書」には記載されていないことであるため、信頼性に欠けます。


7.「特別会計」について言及したか?

 第5、6、9、13、14、16、20、27、29回説明会で、「大阪府の特別会計」に言及しています。例えば、第13回説明会で次のように説明しました。

 

特にパンフレットの19ページです。税金が4分の1以下になるとかそういう話が反対派のほうから出ています。これも事実誤認です。皆さんが納められた税は特別区、この新中央区のほうに直接入るものと一部大阪府を通過して新中央区に入ってくるもの。そういうことで特別区に入るお金、税金が入ってくるルートは2つあります。どうも大阪都構想を批判している人たちの反対の意見のなかで事実誤認があるのは、この皆さんの税金の一部が一回大阪府の特別会計に入ることをもって税金が奪われる、税金がなくなるというのですけれども、それは一回大阪府の特別会計に入りますが必ずまた皆さんの特別区に配分されます。なんでこんなことをやるかというと、5つの特別区に分けますと税金の集まる区と税金があまり集まらない区で差が出てきます。ここを公平にするために、公平に配分するために一旦大阪府が税金を集めますが、それは公平に各特別区に配分をします。そしてこれはルールに基づいて配分をするので、勝手に大阪府が取り上げるとかそういうことはできません

 

 しかし、「特別区設置協定書」には「大阪府の特別会計」という言葉は出て来ません。「大阪府の特別会計」は無いわけですから、特別区民が納めた税金が「大阪府の特別会計」に入ることもありません。この架空の「大阪府の特別会計」については事務局による説明の “4.「特別会計」について言及したか?” に詳しく説明しています。


8.その他説明内容に変化があったところがあるか?

8-1.「問題意識」

 市長は「問題意識」という言葉を多用し、39回の説明会で合計650回使いました(質疑応答は除く)。次のグラフは、「問題意識」という言葉の出現率の変化を表しています。

 「問題意識」という言葉は、市長の説明に非常に多く出現しましたが、このグラフから分かるように、出現率が回を経るごとに減少したことが分かります。これは、外部から「住民説明会で僕の問題意識ばかり話している」という指摘が相次いだからだと思われます。例えば、大阪弁護士会所属弁護士有志73名は、2015年4月21日付で「中立・公正かつ適法な住民説明会を求める抗議・要請書」を市長宛に提出し、その中で次のように説明会での説明内容の問題点を指摘しました。

 

いずれの説明会においても、橋下市長が長時間話をしているが、橋下市長の話は、「ボクの考え」、「ボクの問題意識」という表現を多用し、橋下市長の「問題意識」の話に多くの時間を費やしている

 

 「問題意識」という言葉については、市長はこのような外部からの「おかしい」という指摘に反応し、出現率は減りましたが、これはおそらくこの言葉はそれ程重要ではないと市長が判断したためで、いつも指摘どおりに反応するという訳ではありません。例えば、上の3.の項で「大阪都構想」という言葉の出現回数が増加していると説明しました。この言葉も外部からの批判を受けましたが、増加しました。「大阪都構想」という言葉は、批判を受けたが言い訳してでも使いたかったということになります。

 8-1.の最後として、「問題意識」という言葉を市長はどのようにつかっていたのかを、第4回住民説明会を例に次に示します。

 

まずはそこをしっかりと皆さんにご理解いただいて、もし僕のそういう考え方、問題意識、それが、いや違うよと、それは間違ってるんだ。そもそも、橋下の問題意識が間違ってるねということであれば、今回の提案は反対、皆さんは反対されることになると思います。
仮に、僕の問題意識、今の大阪に対する問題意識が正しいねと。確かにそうだよねとなったとしても、次はじゃあ、その問題意識を解決するために、今回、提案させてもらった方法がふさわしいのかどうなのか。そこまでやる必要はないんじゃないのと、今のままでも、橋下の問題意識はわかるけれども、今のままでもそれはなんとかなるんじゃないのということになれば、反対ということになります。すなわち、僕の問題意識を聞いていただいて、その問題意識はそうだよねと。さらに、じゃあその問題意識、それを解決する方法として、やっぱり、役所を一から作り直さなければいけないよねというふうに思われたら、これは今回の提案、賛成ということになるかと思っております。
ではまず、問題意識をちょっと説明させてもらう前に、今の大都市局の説明で、方法、僕の問題意識を解決するための方法を説明させたんですけれども、そのことについて、よくわかったという人、どれぐらいいらっしゃいます。なんとなくわかったっていう人。なんとなく、まだわからない。全くわからないっていう方。そうですか、わかりました。まずは、この協定書、パンフレットの中身は今から言う僕の問題意識を解決する方法ですから、まず、問題意識について、説明をさせてもらいます。

 

8-2.「空港」

 市長は「空港」という言葉も多用し、39回の説明会で合計762回使いました(質疑応答は除く)。次のグラフは、「空港」という言葉の出現率の変化を表しています。

 このグラフから、「空港」という言葉の出現率は、平均すると後半の方が高かったことが分かります。おそらく市長は、回を経るごとに空港の話が気に入ってきたのだと思われます。例えば、最後の第39回説明回では、次のような説明をしました。

 

もう一つ、空港の問題がありまして、大都市が発展するというのは、国際空港にいかに早く鉄道で結ばれるか。これが本当にポイントなんです。ニューヨークやロンドンやパリ、上海、ソウル、それから香港、バンコク、みんな大都市というものは、国際空港を郊外に作って、そして鉄道で結んで、国際空港から人をどんどん都心部に運んでくる。これは世界の大都市がみんな力を入れてやっているわけです。それは都心部の近くで空港作れば便利ですけども、騒音問題で使えませんから。国際空港というのは24時間空港じゃないといけないので、伊丹空港が24時間使えるんだったらそれはいいですが、あれは使えませんから、24時間、騒音問題。だからどうしてもこの都心部の近くには国際空港は作れない。離れた所に国際空港を作るしかないです。24時間空港。だから、大阪の場合には関西国空港を作った。東京の場合には成田空港を作ったわけです。遠い所に作った。遠い所に空港を作って、そこにえっちらおっちら2時間も3時間も時間かかるとか、1時間も2時間もかかるとなったら誰も来てくれません。外国人ビジネスマンも、日本国内のビジネスマンも、面倒くさくて、そんなの。ですから、都心部と国際空港をなるべく早く鉄道で結ぶというのは、これは世界の常識なんです。だからニューヨークもロンドンもパリも、上海もソウルもバンコクも香港も、みんなやっています。

 

 このように、何度も「空港」という言葉を市長は使いましたが、ここで注意しなければならないのは、「特別区設置協定書」に「空港」という言葉は一度も出て来ないところです。しかも、大阪市内に空港はありません。つまり、特別区設置とは何の関係もないことを長々と話したということになります。


(最終更新:2019年11月2日)