住民説明会(市長が提示したスライド)


 住民説明会で市長が用いたスライドが大阪市のホームページにありましたので入手しました(以下の33枚)。以下にこれらのスライドについて簡単に解説しますが、ご覧のとおり市長がこの住民説明会のために作成し実際に提示したスライドの内容と「特別区設置協定書」の内容は、全く関係がありません


 スライド「1. 府市統合の取組み(AB項目)など」は、大阪府と大阪市の両方にある似た機能を持つ機関等を示しています。例えば、大阪府立大学と大阪市立大学、府立公衆衛生研究所と市立環境科学研究所などです。このスライドは、最初は二重行政の例として市長は説明していましたが、メディア等から「両方あった方がよい」「両方それぞれが有効である」などの意見が出たせいか、徐々にトーンダウンしました。なお、「特別区設置協定書」にはこれらの例が二重行政であるとは書かれていません。そもそも「特別区設置協定書」には二重行政という言葉自体が出てきません

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1. 府市統合の取組み(AB項目)など
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 スライド「2. 大阪市と大阪府の地域整備状況(大阪市)」と「3. 大阪市と大阪府の地域整備状況(大阪府)」は、WTCビルの事業費が1,193億円(大阪市)、オーク200の事業費が1,027億円(大阪市)、りんくうゲートタワービルの事業費が659億円(大阪府)等の過去の事業にかかった費用を示しています。これら2枚のスライドも、最初は二重行政の例として市長は説明していましたが、メディア等から「これは過去の事業の失敗であり、二重行政とは関係がない」などの意見が出たせいか、徐々にトーンダウンしました。なお、「特別区設置協定書」にはこれらが二重行政であるとは書かれていません

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2~3. 大阪市と大阪府の地域整備状況
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 スライド「4. 市民一人当たりの借金額」は、大阪府と大阪市の地方債残高の推移と住民一人当たりの地方債残高を示し、「4. 市民一人当たりの借金額(周辺10市)」は、大阪市の周辺10市の住民一人当たりの地方債残高を示しています。

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4. 市民一人当たりの借金額
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 例えば第39回説明会では、このスライド中の「大阪市民と東京23区民の住民一人当たりの地方債残高」のグラフ

に対し、次のような説明をしました。


左のグラフは大阪市民1人当たりが、大阪府庁と大阪市役所に背負わされている皆さんの負担額です。大阪市民1人当たり。右側のほう、こちらのほうが、東京都民1人当たりが、東京都庁や東京の特別区役所に背負わされている借金、負担。役所に背負わされている負担額だと思ってください。見てください。東京都民1人当たりの負担額の、皆さんの負担額は3倍以上です。東京都民1人当たりの負担額よりも、大阪市民の皆さん1人当たりの負担額は3倍以上。これはもちろん東京は人口も違うし、規模も違うから一概に3倍かどうかというところはいろいろ考え方があるでしょう。でも重要なことはここなんです。色の付いているところとネズミ色のところ、この割合を見てくださいということです。色の付いているところ、赤色のところ、オレンジ色のところは、ここは大阪府庁の負担。大阪府庁が皆さんに背負わせている負担。大阪府庁がこれまでに積み上げてきた借金と思ってもらっても結構です。ネズミ色の部分は、大阪市役所が市民1人当たりに負わせている負担額。大阪市役所がこれまでにやってきた借金額と考えてください。見てください。ほぼ同額。むしろ大阪市役所の負担分のほうが大きい。ここが問題なんです。大阪府知事をやり、大阪市長をやり、これを変えなきゃいけないというふうに思ったんです。まさに大きな仕事を、大阪府庁と大阪市役所がダブルでやっている状態。これを二重行政二重負担。これを変えていきますか、それともこのまま続けますかという話です。大阪市役所にこだわる人たちは、いいんだと。大阪市役所が大阪を発展させるんだからいいというふうに考えます。しかし大阪都構想賛成派の考え方は、もう変えようよと。今までの時代は、大阪市役所が大阪を引っ張っていった。それは認める。地下鉄もやってきた、港も作った、御堂筋というあの大きい道路を作った。それは大阪市役所のおかげで大阪は発展してきました、今まで。しかしこれからもそういうことをやり続けるのと。大阪市民は大阪府民でもあるわけですから、何でもかんでも別に大阪市役所でやる必要ないやんか。大きい仕事は大阪府庁に全部任せたらというのが大阪都構想の考え方

 

 この図は二重行政の有無と関係がありませんし、二重負担に至っては意味不明です。そして、大阪市は順調に借金を減らしており問題ではないこと、逆に大阪府はどんどん借金を増やし続け既に起債許可団体に陥っておりこのままでは破綻する可能性があることは説明しませんでした。なお、これらの二重行政・二重負担が問題だという考え方が大阪都構想の考え方とのことです(住民説明会で大阪都構想の説明をしています)。「特別区設置協定書」にはこのうようなことは書かれていません

 

 スライド5~14は、大阪の状況を示しています。

   5. 大阪の状況 ~大阪の事業所集積~

   6. 大阪の状況 ~大阪市の10%通勤・通学圏~

   8. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市の法人数の推移~

   9. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市の外国人観光客の推移~

   10. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市のデパートの販売額・増加率の推移~

   11. 大阪の状況 ~大阪府のホテル稼働率の推移~

     12. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市の有効求人倍率の推移~

   13. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市の完全失業率の推移~

   14. 大阪の状況 ~大阪府・大阪市の地価の推移~

 

 これらの説明と「特別区設置協定書」とはどのような関係があるのでしょうか。もちろん、「特別区設置協定書」にはこれらのことは書かれていません。 

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5~14. 大阪の状況
5~13.pdf
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 スライド15~20は、大阪と東京を比較しています。

   15. 大阪圏と東京圏における環状道路の状況

   16. 大阪圏と東京圏における地下鉄の状況(大阪)

   17. 大阪圏と東京圏における地下鉄の状況(東京)

   18. 東京圏における空港アクセス

   19. 東京圏へのアクセス状況

   20. 東京都心を経由する直通鉄道アクセスの状況

 

 大阪市営地下鉄は相互乗り入れが3路線しかなく不便であるとか、大阪は空港へのアクセスが東京に比べ不便であるとか説明していました。しかし、大阪市営地下鉄の実際の利用者で、相互乗り入れが3路線しかないから不便だと感じている人はたくさんおられるでしょうか。管理人は大阪市営地下鉄をよく利用しますが、「地下鉄は相互乗り入れが少ないから不便だ」と思ったことは一度もありません。また、関西空港へのアクセスは確かに便利とは言えませんが、大阪市内には空港がなく、特別区設置とは関係ありません。「特別区設置協定書」には、地下鉄の相互乗り入れが少ないから不便、空港へのアクセスが不便等は書かれていません

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15~20. 大阪圏vs東京圏
14~19.pdf
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 スライド21~23は、次のような内容です。「特別区設置協定書」にはこれらのことは書かれていません。 

   21. 大阪における特区の取組み(国際戦略総合特区・国家戦略特区)

   22. グランドデザイン・大阪の概要

   23. 大阪市・大阪府で共通して取り組んでいる戦略

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21~23.
20~22.pdf
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 スライド24の2枚は、大阪市と人口が似通っている都道府県である広島県と京都府と、大阪市を比較しています。「大阪市には公選首長が1人しかいない、少な過ぎる」という説明ですが、公選首長が1人“だから”生じる問題を明確にはしていません。例えば、横浜市の人口は約370万人で大阪市よりもずっと多いですが、「公選首長が1人なので困る。廃止分割しよう。」という話は聞かれません。そして、「特別区設置協定書」には、広島県や京都府との比較は書かれていません

   24. 大阪市と広島県・京都府の人口等の状況1

   24. 大阪市と広島県・京都府の人口等の状況2

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24(2枚). 広島県・京都府との比較
23_24-2.pdf
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 スライド25、26、29、30、31(2枚)は大阪市の教育に関するものです。「特別区設置協定書」に大阪市の教育に関する現状が書かれているわけではありません。

   25. 図書館の状況

   26. スポーツセンター・温水プールの状況

   29. 教育委員会の状況1(体罰・暴力行為、いじめ)

   30. 児童相談所の状況(虐待相談)

   31. 小学校の状況1

   31. 小学校の状況2

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25~31. 教育関係
26~31.pdf
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 スライド32の2枚は、東京特別区での特色ある取組み例を示しています。「特別区設置協定書」に東京都の話が書かれているわけではありません。

   32. 東京特別区による特色ある取組み例1

   32. 東京特別区による特色ある取組み例2

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32(2枚). 東京特別区の特色ある取組み例
32~33.pdf
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(最終更新:2016年7月2日)